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疾患・症状

尿管結石

腎臓から尿道に至る尿の通りみちに結石ができる病気を尿路(にょうろ)結石症といいます。尿路結石症は、結石のある部位により腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けられます。尿路結石症は生活習慣の変化を背景として年々増えており、20人に1人が一生に一度は罹患します。30~50歳代に多く、男性の方が約3倍多いとされています。尿管結石は急激な痛みで出てきて、救急車を要請することがあります。
ほとんどの結石は腎臓で尿の成分が固まってできます。結石の出来るメカニズムはちゃんと解明されていませんが、次の様に考えられています。尿の中にはカルシウム、シュウ酸、尿酸などの結石の原料になる物質が溶けていますが、尿が濃くなったり、尿内物質の組成バランスが崩れたり、尿のpHが酸性やアルカリ性に傾くと腎臓に結晶ができてしまうのです。そしてこの結晶が核となり、だんだん大きくなり結石となります(濃い食塩水に食塩の結晶が出来るのと同じイメージです)。遺伝で生じる結石もありますが、いくつかの要因が重なって発症すると言われ、最近では生活習慣病から生じると報告されています。
腎臓結石の場合にはほとんど痛みがなく、人間ドックの超音波検査や尿潜血の精密検査で発見されることも少なくありません。ところが、結石が尿管に下降すると尿管は通り道が狭いので尿の流れが妨げられ、その上方では尿が渋滞し腎臓(正しくは腎盂(じんう))に圧力がかかり疝痛発作(せんつうほっさ)と呼ばれる腰背部の痛みを引き起こします。この痛みは、ある日突然に冷や汗や吐き気を伴っておこり、救急車を要請するくらいの激痛です。通常痛みは強弱を繰り返します。結石が膀胱近くにまで下降すると残尿感や頻尿といった膀胱炎のような症状が現れます。膀胱の中に尿がなくても結石が膀胱を刺激して尿がある感じ(残尿感)がしたり、その刺激を尿意として感じるとトイレに何度も行く(頻尿)のですが、実際に尿はたまっていないため尿は出ないのです。
検査・診断は尿検査、画像検査(超音波検査・レントゲン検査・CT検査など)
尿検査では赤血球が出ます。超音波検査では腎臓内に尿の流れが渋滞している所見(水腎症(すいじんしょう)という)が認められますが、尿管結石自体はわからないことが多いです。結石を直接把握できる検査としてレントゲン検査がありますが、半数の結石は写りません。最近ではCT検査(レントゲンを使用し体の断面写真を診る検査)が最も有効です。虫垂炎や腸炎など他の病気と鑑別するために採血を行う事もあります。

治療は結石の大きさによって異なります。
4mm以下の尿管結石では、鎮痛剤などの薬剤を使い自然に体外に結石が出る(排石)を待つ保存療法が基本になります。発作が頻回に繰り返す場合には結石を砕く手術を行ったり、腎盂腎炎といって高熱を生じる腎臓の感染症をきたす場合には尿管にステントと呼ばれる細いチューブを入れ尿の流れを確保する緊急手術が必要になります。
5~9mmの尿管結石では自然に排石を待つ保存療法としますが、結石がなかなか排石しない場合や水腎症で腎機能が悪化する懸念がある場合、腎盂腎炎で発熱する場合、疝痛発作の繰り返しで日常生活にかなり支障をきたす場合は手術を行います。10mm以上の尿管結石では自然に排石しませんので手術が必要です。
いずれにしても、1か月以上自然排石されない尿管結石は腎機能障害や感染併発の危険を回避するために積極的な結石除去の手術をすべきとされています。当院では結石に対する手術を行っていないので他院へ紹介しますが、手術には大きく2つあります。体外衝撃波砕石術(ESWL:たいがいしょうげきはさいせきじゅつ)といって体の外から衝撃波で砕く手術ですが、結石が砕けない場合や砕けても結石がうまく排石されず、内視鏡手術が必要になる可能性があります。内視鏡手術では直接結石を見ながら砕いて取り除く手術なので確実な方法ですが、全身麻酔が必要で前者に比べ入院期間が長いです。

*保存療法について:尿路結石患者様の大半は、10mm未満の尿管結石で疝痛発作を機に受診されます。自然に排石する可能性が高いので、早く排石するように水分摂取と適度な運動で経過観察(保存療法)します。もし痛みがある場合には、まず鎮痛薬(経口薬は効果が弱いので坐薬が最適)を使用して頂き、坐薬でも効果が不十分であれば来院して頂き、鎮痛剤の注射をします。坐薬の効果が表れるまでには約30分かかるので痛みを感じたらすぐに使いましょう。また尿管結石の痛みはとても強い痛みなので鎮痛剤を使用しても腰背部に重い感じは残ります(疝痛発作はやわらぎます)。坐薬を使用しても我慢ならない痛みがある場合は病院を受診し鎮痛剤の注射をうってもらいましょう。

*尿路結石患者様の大半はシュウ酸とカルシウムから構成された結石ですが、自然排石された結石の分析により尿酸結石であると判明し高尿酸血症の場合には内科や整形外科での治療が必要となります。

*尿管結石が嵌頓(かんとん:尿管にはまって完全に詰まる状態)して腎盂腎炎を併発した場合には、抗生剤の投与を十分行います。しかし、炎症が重要の場合や結石嵌頓が改善せず解熱しない場合には、菌血症(きんけつしょう)・敗血症(はいけつしょう)など命にかかわる重症感染症に発展するため、尿管にステント(シリコン製の細いチューブ)を挿入・留置することがあります。大半が緊急手術です。結石嵌頓が強い場合には、尿管ステント挿入が困難な場合もあり、このような場合には経皮的腎瘻(けいひてきじんろう:皮膚から腎盂までに針を刺しチューブを入れる)を造設・手術することもあります。いずれにしても腎盂腎炎を併発しているため、この処置により菌血症を増悪させてしまう可能性もあるため、十分な理解と慎重な対応が必要です。

*結石は再発を起こしやすい病気であるため、破砕・排石後も定期的なチェックが必要です。
予防に関しては様々なことが言われておりますが、細かく生活上の注意を達成することは難しいため、「就寝前に食事をしないこと」と「1日2リットル以上飲水すること」の2つを厳守してください。最近では生活習慣病から生じるとも言われ食生活改善も大切です。以下簡単ですが細かい注意点を挙げておきます。

  1. 就寝前に食事をしない:就寝中は尿を作らないようにするホルモンが働きますし(尿は作らないけど体に不要なものは出すので尿が濃くなる)、水分補給がなく発汗などにより脱水傾向になり結石が出来やすい環境です。さらに夕食から就寝までの時間が短いと就寝中に夕食で食べた結石の原料になる物質が尿にたくさん出て結石形成が促されます。朝昼夕3食のバランスを考慮し夕食から就寝までの時間を十分にとることが大切です。
  2. 毎日2リットル以上水分を飲む: 心臓病や緑内障の方は担当医と要相談ですが、慢性的な脱水状態や水分摂取不足では結石を作りやすく飲水が大切です。水分補給源は水道水、ミネラルウォーター、シュウ酸含有量が少ない麦茶やほうじ茶が好ましいです。スポーツドリンクや甘味飲料(炭酸飲料や果実飲料清)は糖分が多く含まれるため、尿中の尿酸とシュウ酸の排出量が増え結石発生の危険が高まります。アルコールは尿量増加には役立ちますが、尿中の尿酸排泄増加と脱水を招くため積極的にはお勧めできません。
  3. シュウ酸の過剰摂取制限:シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草、たけのこ、紅茶、お茶(特に抹茶・玉露)、チョコレート、ナッツ類)を避けましょう。カルシウムと一緒に摂取すると体内への吸収が妨げられます。
    ほうれん草+鰹節/ちりめんじゃこ、たけのこ+わかめ、紅茶+ミルク などひと工夫してください。
  4. 一定量のカルシウム摂取:カルシウムとシュウ酸を同時に摂取すると、腸管内でくっつき吸収されません。よってカルシウムは1日600~800mg摂取すべきです。目安は牛乳100mlでカルシウム100mgです。
  5. その他:食塩・動物性たん白質(肉)・ビタミンCの過剰な摂取制限、肥満解消、適度な運動が大切です。

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