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コラム

遺伝性乳癌・卵巣癌(HBOC)について ~その特徴や検査方法は?~

コラム

外科・乳腺外科部長 大地 哲也

【HBOCとは】

 HBOCですが、2013年に米国の女優さんが、健康である乳房を乳がん発症予防のために切除したと発表したことが話題となり、ご存知の方もいるかと思います。
HBOCとは、「BRCA1」もしくは「BRCA2」という遺伝子の変異をお持ちの方が乳がんや卵巣がんを発症しやすい状況のことで、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer,HBOC)と呼ばれます。BRCA遺伝子変異を持つ方が生涯に乳がんにかかる可能性は一般の6~12倍、卵巣がんでは8~60倍とされます。ただし、BRCA遺伝子変異をお持ちでも乳がんや卵巣がんを発症しない方もいます。
 日本における乳がん発症は年間9万人で、そのうち3~5%がHBOC関連、卵巣がんは年間1万人で、そのうち10%がHBOC関連とされます。

【HBOCの可能性】

 HBOCは遺伝性ですので、ご自分を含めたご家族に特定の傾向があります。

  • 40歳以下で乳がんを発症した
  • 年齢を問わず卵巣がん(卵管がん 腹膜がん含む)を発症した
  • 時期を問わず乳がんを2個以上発症した
  • 男性で乳がんを発症した
  • ご本人含め3人以上の方が乳がんを発症した
  • トリプルネガティブ乳がんといわれた方がいる
  • BRCA遺伝子変異が確認された方がいる

 ひとつでも当てはまる方はHBOCである可能性が一般より高いといえます。

【HBOCの検査】

 採血でBRCA遺伝子変異の有無を確認します。乳がんや卵巣がんをすでに発症していて図表1に該当する方は保険適用となり、費用は3割負担の方で約6万円です。
 検査は検体を匿名化し、プライバシーの保護に最大限配慮して行います。

    hboc01.png

    【検査のメリットデメリット】

     HBOC検査を受けてBRCA変異が見つかった場合、将来2つ目の乳がんや卵巣がんを発症するリスクがあるといえ、検診法の工夫や、図表2のようなリスク低減の検討に役立ちます。不利益は、自分の将来への不安や血縁者への罪悪感を持つことがあるかもしれないといわれます。

    hboc02.png

    【血縁者への影響】

     HBOCは常染色体優性遺伝という形式で親から子へ50%の確率で遺伝します。遺伝に性差はなくHBOCの男性は、乳がん、前立腺がん、膵臓がんを発症しやすい傾向があります。遺伝専門医のカウンセリングを経て血縁者へのHBOC検査を行うことも自費診療で可能です。

    【当院での取り組み】

     当院では、保険適用の範囲でのHBOC検査を行っています。すでに当院や他院で乳がんの治療を終えた方でも該当する方は乳腺外科外来でご相談ください。
     米国ではHBOCの方に若年からの造影乳房MRI検査が推奨されていますが、造影剤の長期繰り返し使用の安全性は確立していません。当院検診センターでは若年者特有のデンスブレスト(高濃度乳腺)の影響を受けにくい非造影乳房MRI(ドゥイブス・サーチ)を近日開始予定で、若年者への乳がん検診の充実にも努めています。

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