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あたまのみかた

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2016年09月20日

2015 年 6 月 みんなの健康講座
「あたまのみかた~頭でおなやみの方、不安を解決します」  抄録

昨今、様々なメディアで病気に関する番組や記事を目にします。メディアの宿命でしょうが、視聴者の興味を掻き 立てる内容でないと注目されないためなのか、殆どあり得ない症状と病気の組み合わせであったり、誰にでも当て はまる症状からの極稀な疾患の話であることが多過ぎる気がします。メディアからの情報を疑い無く信じて、御自 分の身体に不安を感じて受診される方も数多くいらっしゃいます。情報が溢れる時代だからこそ、むやみに心配を 抱くのでは無く、きちんとした状況判断を身に着けることが、適切な医療を受ける一歩と考えられます。今回の「あたまのみかた」は、ひとつひとつの病気の話の前に、あたまの総論的な話をさせていただきました。

≪例えば、頭をぶつけた時。≫

意識が無くなったり、記憶が飛んだりしていなければ、頭蓋骨の中での脳の 揺れは、左程強くありません。脳挫傷 などの頭蓋内出血の可能性は低いのです。しかし、意識消失や健忘を認 めたり、受傷部位に酷い外傷や変形を 認める場合には、脳挫傷や頭蓋内の出血の可能性は高まります。頭蓋 内の出血は、12時間から24時間以内 に止まる場合が殆どです。翌日に美味しく御飯が食べられれば、一安 心です。

60 歳以上の方は、外傷時に何もなくても 1-3 月後に頭蓋骨と脳の間に血が溜まることが稀にありますが、日毎 の変化で進行する病気です。変だなと思ってから受診されても十分に間に合います。

≪例えば、脳、脳血管で何かが起きたら。≫

意識だけを失う脳梗塞、脳梗塞の前兆はありません。太 い血管が詰まらなければ、意識は無くなりません。詰まっ た血管が、再開通しても、数分から数時間にわたり、 手足が動かない、痺れる、呂律が回らないなどの脳局所の 症状を認めます。顔色が悪くなっての意識消失は、 血圧の低下や不整脈、低血糖、貧血などの内科的要素が 殆どです。心機能、不整脈、血液検査などの内科 的検査をしっかり行いましょう。呂律障害や麻痺などが、数分 以上続く時には、迷わずに救急車を呼んでくださ い。

血管が詰まる脳梗塞は、発症から 4.5 時間以内なら血栓を溶かす薬剤が使えます。言い方を変えれば、4.5 時 間以降は、血栓を溶かす薬剤は使えません。これは、世界共通です。一刻を争うのが、脳血管の病気です。仮 に症状が消えていても救急受診することをお勧めします。 前兆を認めた場合、7 日以内に一割以上の人が脳梗塞になっていたことが報告されています。頭の中で血が出 たり、出来物が育った場合には、症状が段階的に強まることはあっても、一時的にせよ消えることはありません。休 んで良くなる頭痛などでは、慢性頭痛を疑います。

 ≪例えば、物忘れが気になる方。≫

その原因は、脳血管性、脳の変性委縮や水頭症、ホルモン異常など原因は様々です。きちんと全身検索を行う ことが重要です。その結果から治療の必要性や治療方法が変わってくるので注意が必要です。あたまは、きちんと 向き合うと多くの病気の予防や発症前治療が可能となります。

特に動脈硬化性の変化は、時間を追った画像の比較が重要です。60 歳ぐらいで礎となる画像が存在していると、 その後の検査時に比較することが出来ます。薬を使わず、痛みのない検査で頸部や脳血管、脳の詳しい状況が わかります。心配な方は、是非、脳神経外科を受診してください。

脳神経センター 部長 岸 博久 日本脳神経外科学会専門医