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コラム

脳腫瘍の各論2 神経膠腫(グリオーマ)

脳神経センター

続いて、原発性脳腫瘍で最も多く、当院としても最も力を注いでいる神経膠腫(グリオーマ、glioma)についてお話しいたしましょう。

神経細胞の約50倍ほどの数がいるといわれる神経膠細胞(グリア細胞)が腫瘍化したものがグリオーマです。原発性脳腫瘍のうち、26.6%を占め、脳そのものから発生する腫瘍では第一位を占める腫瘍です。頻度が高い腫瘍であるにもかかわらず、「完全治癒」が得られにくい腫瘍であることも事実であり、我々が持ちうるできるだけの技術を投入して治療にあたっております。

gulioma1.jpg

グリオーマには上のグラフのように、いくつか種類があり、それぞれにWHO grade(悪性度)が与えられています。 最も多いのがglioblastoma(膠芽腫)であり、これは最も悪性度が高いWHO gradeⅣに分類されます。

<神経膠腫のWHO grade分類>

glioma2.jpg

「anaplastic(退形成性)~」と呼ばれるものがgradeⅢに分類されます。

gradeⅡのグリオーマは良性と言われても、浸潤性が強く画像上一旦消失したように見えても再発の恐れがあり、

いわゆる良性の大腸ポリープなどの良性腫瘍ほどの治癒率がないのが現実です。

日本におけるグリオーマのgrade別神経膠腫の5年生存率

gradeⅡ:69%  gradeⅢ:25%  gradeⅣ:7%                        

Neurologia Medico-Chirurgica(Tokyo) 40(supplement):1-106, 2000)

良性といわれるgradeⅡであっても69%という数字は良性腫瘍といえども厳しい数字であるかと思います。この理由は、摘出したくても大切な部位が含まれていて全摘出が不可能であったり、MRIなどの画像上は全摘出できていても、実際には細胞レベルで周囲に浸潤していて病理学的に全摘出が困難であったりすることが理由かと思われます。

過去の論文においても、悪性度が高いグリオーマの場合、MRIで造影剤で染まる範囲よりも約2cm遠くまで、浸潤している細胞が存在しているとの報告があります。脳の場合、2cmのマージンを取って摘出すると麻痺や言語障害などの後遺症を残すリスクが高くなり、技術的には摘出できても、実際には不可能なことが多いのが現実です。

治療の基本は「いかに腫瘍細胞を減らすか」ということに尽きます。それを達成する治療の柱は、1.手術による摘出  2.放射線治療、3.化学療法、4.免疫療法、5.その他(研究段階の治療)などがあり、これらをそれぞれの患者様に合わせて行います。最終的には腫瘍細胞の数をご本人の免疫力で排除できれば「治癒」が得られるわけです。その中でも圧倒的に腫瘍細胞を最も減らせるのは手術、次いで放射線治療(1/100個)、化学療法(1/10個)と言われています。

95%以上の摘出率が達成できた場合、予後を良くするとのデータがあり、当院では安全な限り、ニューロナビゲーションシステムや5-ALA術中蛍光診断や術中迅速病理診断などの技術を駆使し、95%以上の摘出を目指した手術を心がけています。

 

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